修了

これも今年だったのかという感じがするが、2月の報告会で正式に修論に区切りがついた。発表は特に問題なくあっさりと終わってしまったのだが、研究内容 (暗号理論) 周辺の知識や考え方は今でも仕事でぼちぼち役立っていて、多少勉強したかいがあったなと感じる。どう役に立っているかは後で述べる。

修士生活最大の反省点は、指導教官にほとんど自己主張をしなかったことだと思う。そもそも研究にあまりやる気を見出だせていなかったというのはあるにせよ、それを考慮してもベストな取り組みと言えるものではなかった。もっとこう「突拍子もないアイデアをぶつけて困らせてやろう」とか「指示されてないけど面白そうだから証明までやり終えて持っていってやろう」とか「先生の研究で意見を求められるレベルになってやろう」とか、そういう貪欲さがまるでなかった。小さい枠におさまらずもっと学問にどっぷり浸かることができていれば、新しい景色が見られただろうなと思う。

とはいえ、素晴らしい環境で色んなことが勉強できて本当に楽しかった。

余計なことを考えずに作業に没頭する、疲れたらホットコーヒーと菓子パン片手にキャンパス内を散歩したり、ベンチに座ってぼーっとしたりする、そしてまた作業に戻る。そういう毎日がとても心地よかった。

思い出の眺め


引っ越し

3月末に就職のために東京に引っ越した。家探しは、自分に合った物件の条件をじっくりと決定するのは大前提として、普遍的なものとしては以下の2点に気をつけるとよい。

  1. ス○モを使わないこと。囮物件が横行しすぎていてロクに探せたものではない。
  2. 管理会社の口コミは必ず検索すること。評価が低すぎるところはもってのほかだが、高すぎる管理会社も要注意。

引っ越しは費用が会社負担だったため特に選んでいないが、 単身者向け引越しサービス「わたしの引越」 を利用した。お兄さん方の愛想が良く、破損なども一切なかったので満足している。準備において重要なのは、とにかくダンボールをたくさん用意することと、前もってコツコツ梱包することだと思う。時間がたっぷりあるからと高をくくっていると、前日から徹夜で梱包する羽目になる (実体験) 。

新社会人

4月から新社会人生活が始まった。

4月から12月までは、しばらく研修が続いたあと実際に案件をこなしていき今に至るという、実にオーソドックスな生活を送ってきた。今の現場の先輩たちも3月までやっていたアルバイトと同様、質問をすれば快く答えてくれるし、それでいて仕事の進め方にはほとんど口を挟まずに見守ってくれていて、とても居心地がいい。他の部署ではそうもいかないという話をよく聞くので、やはり僕は運が良いのだろうなと思う。

業務内容はあまり詳細には書けないのだが、ほぼ一日中技術に触れていられる仕事 (というか職場か) で、好きなことが仕事になっている感じがしてとにかく毎日が楽しい。

修士で勉強したことが仕事に活きているのも楽しさの要因の1つかもしれない。

修士では暗号理論という分野を勉強していた。この分野では、ある暗号技術の安全性を数学的に証明する際に、その暗号技術に対して想定される攻撃者を形式的に記述するということをやる。

理想的な (≒とてつもなく賢い) 攻撃者に対して安全ということが示せれば話は早いけど、それは往々にして不可能なので、攻撃者の能力を下げて考えてみる。ただ、何も出来ない (≒ とてつもなくおバカな) 攻撃者に対して安全だと言えたところで無価値なので、よい落とし所を探っていくことになる。

そういう妥当な攻撃者のモデルがいくつか頭に入っていると、実務で扱うシステムの安全性をこの枠に当てはめることで、正確に見積もりやすくなると感じた。要するにシステムの安全性は前提条件の成立しやすさに大きく依存するというだけなのだが、それを理論的に学んだ経験は良い土台になっているのだろうなと思ったのである。

こうした経験もあってか、業務内容的に当然なのか、学生時代よりも技術力は向上したように感じる。仕事となると先輩も容赦なくレビューをしてくるので、学生時代は「まあ、こんなもんでいいか」と妥協しがちだった点がとことんあぶり出されているのだろう。それを言われたとおりに修正していると、知らないうちに力がついているというわけである。

入社したばかりのころはもうこれ以上技術力は伸びないと思っていたので、これはとても嬉しい。また、フィードバックと修正を繰り返して出来たものがお客さんの役に立ったり、上長に褒められたりするのもかなり嬉しいと感じる。

来年からは後輩が入ってくるので、自分が受けた教育を還元できるよう、より一層気を引き締めていきたい。

その他

去年までは割と熱量があったOSSとCTFは、今年はほとんどやらなくなってしまった。

OSSの方は、Helixエディタとradare2に、1,2回 typofix に近いコミットをしただけである。Helixは、業務の性質上使う環境がしょっちゅう切り替わるしコードはほぼAIが書いているしでもう vi でいいやとなってしまい、使う機会もかなり減ってしまった。 radare2 は実務で使おうとかなり練習したのだが、デカいバイナリを開くのが致命的に遅かったり、しょっちゅうコアダンプしたり、あちこちデグレしまくっていたりして、疲れてやめてしまった。

CTFも seccon beginners に出たのみである。CTFをやらなくなったのはたぶん、休日に「分からなさ」を楽しむ余裕がなくなってしまったからだと思う。平日、「分からない = 期間内に成果を上げられない = マズイ」というやや不健全な考えで仕事をしてしまっているのが尾を引いているのだろう。このあたりは来年以降克服していければと思う。

まとめ

厄年とは思えないほど充実した一年だった。来年もぼちぼち頑張りたい。